ハウジング継手とは

ハウジング形管継手の歴史

当初のメカニカルジョイント方式、通称「ハウジング形管継手」の主な用途は軍事利用されるのみであったが、その利便性から民間産業の市場へ受け入れられ急速に広まって行った。時代は第一次世界大戦まで遡り今から100年以上前になります。

ハウジング形管継手の構造

湿式、乾式ハウジング継手は管端にロールグルービングマシンにて溝加工された2つのパイプ間にEPDM製のゴムを取り付け、2つハウジングの爪を溝に嵌め込み、ボルトナットで固定することによりパイプを接合します。ハウジングの方式には「可とう式」、「固定式」があります。

ハウジング継手展開図

上記のハウジングは固定式カップリング。アングルで固定するタイプ。

ガスケットの形状

図1

ガスケットはリップ構造をしており、その断面はアルファベットのCを横に倒した形状をしています。ガスケットの内径はやや小さく、そのままでは装着しづらいため、オイルスプレーを塗布して装着します。

図2:パイプエンドからグルーブ溝までをシールしている状態。

ゴム自身が元の形状に戻ろうとする収縮する力と張り出したシール面が、パイプのシール面へ密着し潤滑剤と作用し気密圧力となります。

図3 管内部に管圧が加わった場合、ガスケット内へ伝わった圧力は内側全体に加わり、張り出したシール面を押しつけ気密力が増幅します。

図4 負圧の場合は矢印方向へ作用するため、やはりシール面を押し付け気密力が増強されます。

※全ての負圧条件に対応するわけではありません。諸条件等はお問い合わせください。

ハウジング継手組込図

図5

上記の図5では標準タイプガスケットが組み込まれた状態を表した断面のイラスト

ハウジング形管継手のメリット

ロールグルービングマシンは国内ではレッキス工業製が有名ですが、その他手動式で軽量な機種もあります。加工自体は特に熟練を要するものではありません。むしろハウジング継手の施工は熟練を要さない所にメリットがあります。日々各種施工等をされている職人様であれば、数回の加工ですぐにコツが掴めるかと思います。

また、ハウジング継手には耐震性に優れていることもあげられます。阪神大震災や東日本大震災でも実証済みです。また海外提携先から聞いた話では、韓国では耐震性の観点から国策で全ての配管がハウジング継手に置き換わっており需要が急増しているとの事。

メリットまとめ

  1. 耐震性に優れている。
  2. 管の振動、伸縮やたわみを吸収し可とう性に優れている。
  3. 施工性に優れている。グルーブ溝加工と接続組み立てが容易。
  4. 溶接等に比べて熟練を必要としない。
  5. グルービングマシンの加工は容易なため施工者ごとの品質のばらつきが少ない。
  6. 加工後に簡単にチェック可能。溝ゲージを使用してグルーブ溝を適切確認できる。
  7. 加工ミスが少ない。グルービングマシンは安定してグルーブ溝加工を形成できる。

ハウジング形管継手のデメリット

一方でネット上で下記のような投稿を見つけました。

「ハウジング継手類は合成ゴム等でシールする製品が殆どだと思いますが、 乾式ですと火災時に耐熱性能を満たせず漏水するのでNG、という樹脂管等と同じ理由だったと思います。(すいません、ソースは探せませんでした。」
引用:建設設備フォーラム

ガスケットはゴム製ですが、その部分は露出になっているわけではないため、直接当該部が火災にさられるわけではありません。ハウジングはFCD450-10というダクタイル鋳鉄製のものです。また、ゴムはダクタイル鋳鉄製のハウジングで保護されていると言っても過言ではないでしょう。

しかしながら、金属のハウジングを長期間、燃焼状態に晒されていればゴムがダメージを受けることを想定する必要があるかと思われます。

乾式配管において、「火災時に熱による著しい損傷を受ける恐れがある部分」例えば露出部分に施工する場合はロックウール等でハウジングを保護することお願いしております。

事務連絡H21によると、
「準不燃材料で作られた区画、間仕切り、天井等や、配管等に巻かれた50mm以上の厚みのロックウールに被膜等により、火災時の炎及び熱から有効に保護されている場合」は「火災時に熱による著しい損傷を受ける恐れがある部分」には該当しないとの事